vol.230 【再確認】育児介護休業法 2025年改正
昨年の2025年4月と10月に
育児介護休業法が改正となりました。
それにより、新たな制度設計や就業規則の変更が必要となり
会社側が対応すべきことが多くなっています。
再度、2025年の育児介護休業法の改正のおさらいと
会社側が行わなければいけない事項を確認していきましょう。
■ 2025年 育児介護休業法改正
2025年における育児介護休業法の改正は
4月と10月の2回に分けて行われています。
●2025年4月改正
Ⅰ. 子の看護等休暇の見直し
Ⅱ. 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
Ⅲ. 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加
(選択する場合には就業規則変更)
Ⅳ. 育児のためのテレワーク導入(努力義務)
Ⅴ. 育児休業取得状況の公表義務適用拡大
Ⅵ. 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
Ⅶ. 介護離職防止のための雇用環境整備
Ⅷ. 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
Ⅸ. 介護のためのテレワーク導入(努力義務)
●2025年10月改正
Ⅹ. 柔軟な働き方を実現するための措置等
Ⅺ. 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
この11項目のうち、
Ⅳ.Ⅸ.を除くすべてが義務となっています。
対応されていない会社は、法律に則った
変更等の手続きが必要です。
なお、ⅣおよびⅨは努力義務とされています。
1つずつ改正等の項目を確認しましょう。
■ 改正内容
Ⅰ. 子の看護等休暇の見直し
○改正内容その1:対象となる子の範囲の拡大
【改正前】 【改正後】
小学校就学の始期に達するまで ⇒ 小学校3年生修了まで
○改正内容その2:取得事由の拡大
【改正前】 【改正後】
①病気・けが ⇒ ①病気・けが
②予防接種・健康診断 ⇒ ②予防接種・健康診断
⇒ ③感染症に伴う学級閉鎖等
⇒ ④入園(入学)式、卒園式
○改正内容その3:労使協定による除外できる労働者
【改正前】 【改正後】
①週の所定労働日数が2日以下 ⇒ ①週の所定労働日数が2日以下
②継続雇用期間6か月未満 ⇒(②継続雇用期間6か月未満を削除)
○改正内容その4:名称変更
【改正前】 【改正後】
子の看護休暇 ⇒ 子の看護等休暇
Ⅱ. 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
○改正内容:労働者の範囲の拡大
【改正前】 【改正後】
3歳未満の子を ⇒ 小学校就学前の子を
養育する労働者 養育する労働者
Ⅲ. 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加
○改正内容:『短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置』にテレワークを追加
【改正前】 【改正後】
①育児休業に ⇒ ①育児休業に
関する制度に準ずる措置 関する制度に準ずる措置
②始業時刻の変更等 ⇒ ②始業時刻の変更等
⇒ ③テレワーク
Ⅳ. 育児のためのテレワーク導入(努力義務)
【新設】3歳未満の子を養育する労働者が
テレワークを選択できるようにする
Ⅴ. 育児休業取得状況の公表義務適用拡大
○改正内容:公表義務の対象となる企業の拡大
【改正前】 【改正後】
従業員数1,000人超の企業 ⇒ 従業員数300人超の企業
男性の「育児休業等の取得率」
または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」の2点について
年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、
インターネット等の方法で公表してください。
Ⅵ. 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
○改正内容:労使協定による除外できる労働者
【改正前】 ⇒⇒⇒【改正後】
①週の所定労働日数が2日以下 ①週の所定労働日数が2日以下
②継続雇用期間6か月未満 (②継続雇用期間6か月未満を削除)
Ⅶ. 介護離職防止のための雇用環境整備【新設】
介護休業や介護両立支援制度等の申出が
円滑に行われるようにするため、
事業主は以下①~④のうち
いずれかの措置を講じなければなりません
「介護休業・介護両立支援制度等に関する
① 研修の実施
② 相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の制度利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ制度利用促進に関する方針の周知」
Ⅷ. 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等【新設】
○1. 介護に直面した旨の申出をした
労働者に対する個別の周知・意向確認
【周知事項】
①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
②介護休業・介護両立支援制度等の申出先
③介護休業給付金に関すること
【個別周知・意向確認の方法】
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
○2. 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
【提供事項】
①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
②介護休業・介護両立支援制度等の申出先
③介護休業給付金に関すること
【提供期間】
①誕生日前日(労働者が40歳に達する日)の属する年度(1年間)
②誕生日(労働者が40歳に達する日の翌日) から1年間 のいずれか
【提供の方法】
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
Ⅸ. 介護のためのテレワーク導入(努力義務)【新設】
要介護状態の対象家族を介護する労働者か
テレワークを選択できるようにする
Ⅹ. 柔軟な働き方を実現するための措置等【新設】
○1. 育児期の柔軟な働き方を実現するための措置
事業主は、3歳から小学校就学前の子を
養育する労働者に関して、次の5つのうちから
2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。そして
労働者は、事業主が講じた措置の中から
1つを選択して利用することができます。
①始業時刻等の変更
②テレワーク等(10日以上/月)
③保育施設の設置運営等
④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇
(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
⑤短時間勤務制度
※後半で詳しく解説します
○2. 柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認
該当労働者に個別で上記1で選択した制度に関する
周知と制度利用の意向の確認を行う
【周知時期】
労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間
(1歳11か月に達する日の翌々日から
2歳11か月に達する日の翌日まで)
【周知事項】
① 事業主が1.で選択した対象措置上の内容
② 対象措置の申出先(例:人事部など)
③ 所定外労働(残業免除)・
時間外労働・深夜業の制限に関する制度
【個別周知・意向確認の方法】
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
Ⅺ. 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮【新設】
○1. 妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取
事業主は労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を
申し出た時と、労働者の子が3歳になるまでの適切な時期に、
子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する事項について、
労働者の意向を個別に聴取する
【意向聴取時期】
① 労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき
② 労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間
(1歳11か月に達する日の翌々日から
2歳11か月に達する日の翌日まで)
【聴取内容】
① 勤務時間帯(始業および終業の時刻)
② 勤務地(就業の場所)
③ 両立支援制度等の利用期間
④ 仕事と育児の両立に資する就業の条件
(業務量、労働条件の見直し等)
【意向聴取の方法】
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
○2. 聴取した労働者の意向についての配慮
前項により聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する
意向について自社の状況に応じて配慮をする
例:業務量の調整、始業時間の変更
■ 会社がやるべきこと
今回の法改正により会社がやるべき事項を確認していきます。
1. 「Ⅶ.介護離職防止のための雇用環境整備」の
4つの措置のうちから1つ、ならびに
「Ⅹ.柔軟な働き方を実現するための措置等」の
5つの措置(後述)のうちから2つ選択する
介護離職者防止のための雇用環境整備と
柔軟な働き方を実現するための措置等では
複数の措置のうちから、どの措置を講ずるのか
会社側で決める必要があります。
会社の業務内容や規模により
どれを選択するのか過半数組合等からの意見聴取する必要があり
加えて、介護や育児当事者である従業員等へも
意見聴取を行うことが望ましいとされています。
介護離職者防止のための雇用環境整備では
一般的に「相談窓口の設置」を行っている会社が多いです。
【柔軟な働き方を実現するための措置等の内容】
(以下の5つのうち2つを選択)
①始業時刻等の変更
下記の2つのうちいずれかの措置をとります。
・始業および終業の時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度
(時差出勤の制度)
・フレックスタイム制の導入
②テレワーク等(10日以上/月)
一日の所定労働時間を変更せず、
月に10日以上、テレワークを利用できるもの
③保育施設の設置運営等
保育施設の設置運営や、
その他これに準ずる便宜の供与をするもの
(ベビーシッターの手配および費用負担など)
④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇
(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
法定休暇とは別に年に10日以上取得できるもの
休暇取得日は無給でも問題ありません
⑤短時間勤務制度
所定労働時間を短縮する制度
短縮した時間については無給でも問題ありません
①始業時刻等の変更、④養育両立支援休暇、⑤短時間勤務制度
の3つのうち2つを選択されている会社が多いようです。
~厚生労働省
「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」策定マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001553216.pdf
2.配布資料や研修資料の作成、意向聴取の方法の決定
その制度で運用していくかの決定を行った後
対象者に説明するための
育児や介護に関する資料を作成します。
・妊娠や出産育児に関して労働者が取得できる休暇や
制度の内容説明
・介護に直面する前の早い段階および介護が必要な
労働者が取得できる休暇や制度の内容説明
そのうえで、対象労働者が制度を利用するのか、
利用する場合には、どの制度を利用するのか
意向確認を取る必要があります。
意向確認の方法は、面談、書面交付、FAX、電子メール等
のいずれかの方法で確認を取ることが義務付けられています。
どの方法で確認を取るのか、
それも事前に決定しておきましょう。
3.就業規則や労使協定の変更
今回の法改正の内容を就業規則に盛り込む必要があります。
特に今回は法改正の内容だけでなく
会社側がどの制度を選択するのかも
就業規則に記載する必要があります。
また、労使協定で子の看護等休暇や介護休業を
取得できる労働者を一部除外している場合
「継続雇用期間6か月未満」が廃止となったため
労使協定の変更が必要です。
4.対象者を確認する
育児や介護の制度の説明や
意向確認が必要な労働者をピックアップします。
【出産・育児】
・妊娠したとき
・育児休業をするとき(上記の「妊娠したとき」と一緒でもよい)
・子が1歳11か月に達する日の翌々日から
2歳11か月に達する日の翌日まで(3歳になる前)
【介護】
・労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)
もしくは労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間
・介護に直面したとき
今後は、労働者や家族の年齢管理も必要になります。
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ここが知りたい! Q&A
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【Q.1】
柔軟な働き方を実現するための措置等では
3歳から小学校就学前の子を
養育する労働者に関して、会社で2つの制度を選択しましたが
会社内で事業所ごと、職種ごとに
違う制度を措置してもよいのでしょうか。
【A.1】
事業所ごとに違う制度を設定しても問題ありません。
例) 本社→「始業時刻等の変更」と「テレワーク等」
工場→「養育両立支援休暇」と「短時間勤務制度」
☆ ☆ ☆
【Q.2】
柔軟な働き方を実現するための措置等における
『養育両立支援休暇』は無給でも問題ないのでしょうか。
【A.2】
養育両立支援休暇の目的は『育児と就業の両立』であり、
労働者は休暇を取得する権利があることになります。
事業主が『養育両立支援休暇』を採用した場合、
労働者が当該休暇を取得したことを理由として
不利益な取り扱いをしてはいけません。
ただし、ノーワークノーペイの原則により
働いていない時間、日数は無給であっても問題ない、とされています。
なお、法を上回る措置として有給とすることは差し支えありません。
☆ ☆ ☆
【Q.3】
「介護に直面する前の早い段階での両立支援等に関する情報提供」
について、年度当初などに対象となる労働者を集めて
まとめて研修会等を実施してもよいのでしょうか。
【A.3】
年度当初などに対象者を一堂に集めて
研修会等を行っていただいても差し支えありません。
~厚生労働省 令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A Q4-2参照~
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001567572.pdf
なお弊法人では様々な研修を開催しており
育児休業、介護休業等の制度説明等も行っております。
