vol.198 内縁関係、連れ子の被扶養者認定
被扶養者になれるかどうかのお問い合わせはとても多く
その都度説明をさせていただいておりますが、
状況によっては添付書類が必要な場合があります。
特に税法上と違う「内縁関係でも被扶養者になれる」
という場合に添付書類が必要となります。
どのような場合に、どのような書類が必要なのか
再度確認していきましょう。
■ 税法上の扶養家族と社会保険上の被扶養者との違い
扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があり
その適用になる家族の範囲や金額等も一部違いがあります。
混乱されるケースがよく見られますのではじめに確認していきましょう。
【税法上の扶養家族】
●対象者
戸籍上の親族で6親等内の血族、3親等内の姻族
税法上の扶養に入るためには、
扶養する方と扶養される方が生計を一にしていること
原則は同居だが
「遠方の学校に通う学生であり、実家を離れて一人暮らしをしている」
などのケースは同一世帯であるとみなされる
●1年の単位
1月~12月
●所得要件
1年間の所得が48万円まで(配偶者のみ95万円まで)
・給与収入の場合:収入額から55万円を引いた金額
・年金収入の場合:65歳以上は110万円を引いた金額
65歳未満は60万円を引いた金額
※収入要件
給与収入のみの場合:103万円まで(配偶者のみ150万円まで)
●その他
内縁関係は認められない(戸籍上の親族であること)
【社会保険上の被扶養者】
●対象者
3親等内親族で
主として被保険者の収入により生計を維持されている
75歳未満の方のうち、
◇同居でも別居でもよい方
・配偶者(内縁関係含む)
・子(養子含む)、孫、兄弟姉妹
・父母など直系尊属
◇同居が条件の方
・上記以外の3親等内の親族
・配偶者(内縁含む)の父母および子
●1年の単位
社会保険の扶養にする日から将来に向かって1年間
(6月に扶養する場合は6月~翌年5月)
●所得要件
所得という考え方なし
●収入要件
下記3点すべてを満たしていることが必要
1.1年間の見込み収入が130万円未満
(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入※180万円未満)
2.同居の場合は収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、
別居の場合は収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
給与所得等の収入がある場合は月額10万8,333円以下
3.雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下
特に、対象者の範囲、収入の額が
所得税法上と社会保険上は違う点に注意が必要です。
また所得税法上には年齢の上限がありませんが、
社会保険上は、75歳を超えると後期高齢者となるため
被扶養者になれない点も異なります。
■ 被扶養者になれる方
次に、社会保険の被扶養者になるための要件を確認しましょう。
●次の(1)および(2)の要件を満たす方
(1)被扶養者の範囲
・主として被保険者の収入により生計を維持されている75歳未満の方
・3親等内の親族で
◇被保険者と同居でも別居でもよい方
①配偶者(内縁関係も含む)
②子(養子を含む)、孫
③兄弟姉妹
④父母など直系尊属
◇被保険者と同居が条件の方
①上記以外の3親等内の親族
②配偶者(内縁も)の父母および連れ子
※75歳以上は
後期高齢者医療制度の被保険者となるため被扶養者になれません
(2)被扶養者となるための収入条件
◇同居の方
対象者の年間収入が130万円未満
(60歳以上または障害者は180万円未満)
+
被保険者の収入の2分の1未満であること
◇別居の方
対象者の年間収入が130万円未満
(60歳以上または障害者は180万円未満)
+
被保険者の仕送額がその対象者の年間収入を上回ること
被扶養者の範囲図は
「協会けんぽ」のホームページでご確認ください。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230
■ 内縁関係の者、連れ子等の書類
上記の通り、社会保険では
戸籍が同一ではない内縁関係の者でも
被扶養者になれ る可能性があります。
被扶養者になるためには、
同居しており、生計を同じくしていることが必要です。
そのため、下記の書類が別途必要になります。
●内縁の配偶者
1.被保険者、被扶養者ともに戸籍謄本もしくは戸籍抄本
お互いに法律上の配偶者がなく、重婚関係ではないことの証明
2.世帯全員の住民票
同居していることの確認書類
●内縁の配偶者の連れ子
1.被保険者、内縁の配偶者、連れ子の戸籍謄本もしくは戸籍抄本
被保険者と被保険者の配偶者について
お互いに法律上の配偶者がなく、重婚関係にないことの証明
+
内縁の配偶者とその連れ子の関係の証明
2.世帯全員の住民票
同居していることの確認書類
●結婚した相手方の連れ子
(養子縁組していない、氏名が違う場合)
1.被保険者の配偶者と連れ子の戸籍謄本もしくは戸籍抄本
被保険者の配偶者とその連れ子の関係の証明
※2の住民票で続柄が確認できる場合には省略可能
2.世帯全員の住民票
同居していることの確認書類
●養子
特になし
通常の実子と同じ扱いのため、別途添付書類はいりません。
また実子と同じ扱いになるため、同居していなくても
被扶養者になれます。
ただし養子が苗字を変更せず、被保険者とは違う苗字になる場合
被保険者との続柄の確認が必要なため
1.被保険者、養子の戸籍謄本もしくは戸籍抄本
こちらが必要となります。
なお健康保険組合や協会けんぽによって
別途添付書類が必要な場合があります。
また収入や年齢要件は、通常の被扶養者と同様の確認、
添付書類の添付が必要となります。
各人の状況により、その都度添付書類等を確認してください。
■ その他の注意点
内縁者は被扶養者に認定されれば
国民年金第3号にも該当します。
ただし60歳が上限となります。
内縁の配偶者や連れ子であっても、
収入の額等は、通常の配偶者や子と同じ要件となります。
まずは年収が130万円
(60歳以上又は障害者の場合は180万円)未満であることを
確認しましょう。
また海外に住んでいる家族は令和2年4月より
原則、被扶養者にはなれません。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ここが知りたい! Q&A
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【Q.1】
内縁の配偶者の親も
社会保険の被扶養者になれるのでしょうか。
【A.1】
内縁の配偶者の親も連れ子と同じく、
・同居していること
を条件として、被扶養者になれます。
内縁の配偶者だけでなく婚姻していても、配偶者の親については
同居が認定要件となります。
☆ ☆ ☆
【Q.2】
同性婚のカップルについては
社会保険の被扶養者となれるのでしょうか。
【A.2】
現時点では、同性婚のカップルは
被扶養者となることはできません。
社会保険や税金の面では配偶者として認められていませんが、
市町村によっては同性パートナーシップ制度による証明書を
発行している自治体もあり、
今まで対象とならなかった民間のサービスが受けられる場合があります。
ご不明・ご不安な点は、
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