vol.197 マイナンバー制度の再確認
政府が健康保険被保険者証(以下「健康保険証」という)を
2024年の秋に廃止し、
マイナンバーカードへ一体化した形に切り替えると発表しました。
また、運転免許証との一体化の時期についても、
当初予定していた2024年度末から前倒しする方針も示しました。
すでにマイナンバーカードを持っている方もいらっしゃると思いますが
今後、マイナンバーカードを作成する方も増えてくると思います。
今回は再度、マイナンバー制度について確認していきます。
■ マイナンバー制度
日本国内に住民票を有する全ての方に
一人につき一つの番号(マイナンバー)が付されるものです。
マイナンバーは、
社会保障・税・災害対策の分野で効率的に情報を管理し、
複数の機関に存在する個人情報が
同一人の情報であることを確認するために活用されます。
番号が漏洩し不正に使用される場合を除き、
原則、マイナンバーは一生変更されない大切なものです。
■ マイナンバー制度を導入する効果
1.公平・公正な社会の実現
所得や他の行政サービスの受給状況が把握しやすくなり、
負担を不当に免れることや、不正な給付を防止できます。
2.国民の利便性の向上
行政への手続きに必要な添付書類の削減が
図れるなど、行政手続きが簡素化されます。
行政機関が持っている自分の情報の確認や、
行政機関から様々なサービスのお知らせを
受け取ったりできるようになります。
3.行政の効率化
行政機関・地方公共団体で様々な情報の
照合・転記・入力に要している時間や労力が削減されます。
■ マイナンバーが必要な手続き
マイナンバーは社会保障・税・災害対策分野の
行政手続きのうち、法律で定められたもののみに
しか利用されません。
またこれらに類する事務で、
地方公共団体が条例で定めるものに利用されます。
【社会保障】
年金・労働・医療・福祉に関するもの
〈例〉
・年金の資格取得や確認、給付
・雇用保険の資格取得や確認、給付
・医療保険の保険料徴収
・福祉分野の給付、生活保護
【税】〈例〉
・税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書
【災害対策】〈例〉
・被災者生活再建支援金の支給
・被災者台帳の作成事務
皆様の会社では
従業員の方の各種社会保険の手続きや税務の手続きを
行っていらっしゃるかと思いますが、
今後これらの手続きにはマイナンバーが必要となります。
従業員からのマイナンバーの情報提供依頼、
個人情報としての慎重な管理が必要となります。
■ 現在マイナンバーカードでできること
社会保障・税・災害対策の分野でつかえるマイナンバーですが
マイナンバーを紐づけしたマイナンバーカードを持っていると、
今まで以上に簡単に便利にできることが多くなります。
証明書などのコンビニ交付
コンビニなどに設置されたマルチコピー機で、
住民票の写しなどの各種証明書を取得できます。
現在取得できるのは、
住民票の写し、印鑑証明書、戸籍謄抄本などです。
オンラインでの行政手続き
マイナポータル(デジタル庁)での各種手続き
(児童手当、介護保険など)や、
e-Tax(国税庁)による確定申告などを
オンラインで行うことができます。
顔写真付き身分証明書として利用できる
マイナンバーカードは顔写真付身分証明書として活用できます。
無料で取得できる身分証であり、
運転免許証を持っていない方やお子様等の
身分証明書として利用されることが多いと考えらます。
健康保険証として利用できる
病院や薬局の受付で健康保険証を提示する代わりに、
マイナンバーカードを用いることができます。
ただし利用には事前に申し込みが必要です。
また、限度額適用認定証がなくても、
一定額以上の支払いが免除される高額療養費制度も適用されます。
薬局では処方箋を受け取ると、
マイナポータルで薬の情報を閲覧できます。
薬のほかに、特定健診の結果も閲覧可能なので、
紙のお薬手帳が不要になります。
■ マイナンバーカードの健康保険証利用について
2024年に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードへ一体化させる、
という方針が2022年10月に発表されました。
健康保険証をマイナンバーカードに連結した場合
どのようなメリット、デメリットがあるのかをあげていきます。
【メリット】
顔認証付きカードリーダーで受付が自動化
「顔認証付きカードリーダー」でマイナンバーカードの
顔写真データをICチップから読み取り、
その「顔写真データ」と窓口で撮影した「本人の顔写真」と照合して、
本人確認と保険資格の確認が一度にできるため、
対面で接触することなく受付を自動化することができます。
就職・転職・引越をしても健康保険証としてずっと使える
国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している方は、
定期的な被保険者証の更新が不要になり、
高齢受給者証の持参も不要になります。
市区町村をまたぐ転居の際も、マイナンバーで情報が紐づくため
引き続き保険証として使用できます。
就職や転職により保険者が変わっても、マイナンバーカードを
健康保険証として引き続き使うことができます。
ただし従来通り会社で資格取得、喪失、異動届等の手続きは必要です。
また、手続き完了前に医療機関にかかった場合、
一時的に使用できない可能性があります。
医療費控除の確定申告がオンラインで簡単にできる
医療費の領収書を管理しなくても、
マイナポータルで医療費通知情報を管理できます。
マイナポータルからe-Taxに情報連携できるため、
オンラインで確定申告が完結します。
データに基づく診療・薬の処方が受けられる
薬剤情報、特定健診情報、医療費通知情報を
閲覧することができるようになります。
薬剤情報と特定健診情報については、
患者の同意を得たうえで医療関係者に提供し、
より良い医療を受けることができるようになります。
また旅行先や災害時でも日ごろ使用している薬の情報等が
連携されるので安心です。
限度額以上の一時支払いの手続きが不要
限度額適用認定証がなくても、
高額療養費制度における限度額を超える支払いが免除されます。
【デメリット】
紛失・個人情報漏洩のリスク
医療機関・薬局が使うのは、マイナンバーカードの
ICチップに保存されている「電子証明書」のデータのみであり、
12桁のマイナンバーは使用しません。
仮にマイナンバーカードの裏面に記載されている
「12桁のマイナンバー」だけが漏れた場合、
悪用される危険性は高くありません。
一方、マイナンバーカードを紛失した場合は注意が必要です。
マイナンバーカードの4桁の暗証番号も漏れてしまうと、
そのカードでマイナポータルにログインして、医療情報だけでなく、
納税や所得の情報などを閲覧することができてしまうという
危険性があります。
マイナンバーカード健康保険証がつかえる医療機関が少ない
現時点ですべての病院、薬局でマイナンバーカード健康保険証が
使えるわけではありません。
マイナンバーカード健康保険証の利用には
カードリーダーが必要であり、その設置が進んでいないためです。
ただし今後は
カードリーダーの設置が進んでいくと思われますので、
使用できる医療機関が増えていく予定です。
受付に時間がかかる場合がある
カードリーダーが設置されたとしても
顔認証やパスワード入力を求められますので
カードリーダーの台数が患者数と比較して少ない場合や
顔認証等がうまく機械が反応しない場合などは、
現在より受付に時間がかかることが考えられます。
今後、マイナンバーカード健康保険証が使える
医療機関が増えますので、
メリット、デメリットを確認して
情報漏洩などがないよう、気を付けながら使っていく必要が
あると考えます。
なお、現在持っている健康保険証を使うか、
マイナンバーカード健康保険証を使うかは
個人の選択になりますので、
現在の健康保険証も引き続き利用することが可能です。
~厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用~
https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ここが知りたい! Q&A
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【Q.1】
マイナンバーを取り扱う場合に注意点があれば
教えてください。
【A.1】
マイナンバーは社会保障・税・災害対策の分野で効率的に情報を
管理していくものです。
そのため必要な時以外は、
マイナンバーをむやみに提供したりしないようにしてください。
マイナンバーの通知や利用、マイナンバーカードの交付などの手続で、
行政機関などが口座番号や口座の暗証番号、所得の情報、家族構成や
年金・保険の情報などを聞くことや
お金やキャッシュカードを要求したり
銀行のATMの操作をすることは一切ありません。
そのような場合は、犯罪の可能性がありますので注意が必要です。
☆ ☆ ☆
【Q.2】
マイナンバー健康保険証を提示した場合の
医療機関や薬局での受付はどのようになるのでしょうか。
【A.2】
受付時に、患者自らがマイナンバーカードを窓口に設置された
カードリーダーにマイナンバーを置きます。
①「顔認証付きカードリーダー」の場合
・顔認証(カードのICチップ内の写真データと窓口で撮影した顔を比較)
又は
・患者が4桁の暗証番号を入力
により、本人確認を行います(窓口職員の目視も可)。
②「汎用カードリーダー」の場合
・患者が4桁の暗証番号を入力 又は
・窓口職員の目視
により本人確認を行います。
▼▼▼ 過去メルマガはこちらまで ▼▼▼
Vol.1~193
https://profile.ameba.jp/ameba/cent-21/
vol.194~
https://sr-connect-tk.com/archives/category/blog